【豆知識】 シャンパン通になるための第一歩(2) #50

 

 今回はシャンパン通になるための3つのポイントを紹介していきますが、皆さんはどのような味のシャンパンがお好みですか。

私は、個人的にはシャンパンは辛口、ドライなものが好きで、この辛口をブリュットといいます。シャンパンもスパークリングワインも、残糖量が決められており、残糖量で、ナチュール(無糖)、エクストラ・ブリュット(極辛口)、ブリュット(辛口)などが決まってきます。具体的には、ラベルを見て「Brut Nature」「Pas Dose」「Dosage Zero」などと書いていれば、1ℓ当たりの残糖量が3g未満で最も辛口になります。「Extra Brut」で残糖量が0-6g、「Brut」で12g未満、「Extra Dry」で12-17g、これ以上甘いのはSec→Demi Sec→Douxと残糖量が上がっていきますが、高級レストランでは甘味が食前酒に向かないと考えられていて、使われるのはBrut位までだと思います。


 さてここで前回お伝えしたキーワードかつシャンパン通の1つ目のポイントとなる「ノン・ドサージュ」の話に戻りますが、ノン・ドサージュは残糖量が3g未満となり、糖分が極めて少ないためにすっきりと爽やかな味わいがします。甘味がないので飲みにくいかというとそうではなく、ブドウ本来のほんのりとした甘味とコクが感じられる絶妙なバランスを持っています。残糖量が少ないということからダイエットに勤しむ女性にも人気があり、ブームも高まりつつあります。女優の黒木瞳さんは大のシャンパン好きで朝シャンをするほどですが、彼女のお好みはノン・ドサージュです。

 せっかくなので、ノン・ドサージュの具体的な銘柄をいくつか紹介するので是非試してみてください。1つ目は、手仕事の芸術品と称される丁寧なシャンパン造りを続けている、1776年に設立された老舗メゾンのLOUIS ROEDERER(ルイ・ロデレール)です。2021年に発表された『ドリンクス・インターナショナル』の「世界で最も称賛されるシャンパーニュ・ブランド」にて2年連続で第1位に選出されたトップメゾンの頂点を極めている生産者で、クリスタルという最高級シャンパン(プレステージ・キュヴェ)を造っているメゾンと言えば分かりやすいですかね。そんなルイ・ロデレールがリリースするノン・ドサージュがブリュット・ナチュールで、ブドウそのものの旨味がしっかりと味わえるクリーミーでピュアな超贅沢ノン・ドサージュを1.5万円前後のお値段で楽しめます。もう少しお手頃のノン・ドサージュのシャンパンであれば、自然派として知られるドラピエがリリースする完全無農薬栽培のピノ・ノワール100%のノン・ドサージュ、ブリュット・ナチュールが7,000~8,000円程度で楽しめるのでこれもお薦めです。

 少し話題がそれますが、ルイ・ロデレールが1986年にカリフォルニアで立ち上げたのが「ロデレール・エステート」で、ルイ・ロデレールの伝統のテクニック、飽くなきクオリティ主義をそのまま受け継ぎ、シャンパンにも劣らない上質なスパークリングワインを生み出しています。これが3,000~4,000円のお手頃価格で楽しめるので、デイリーな泡物としては絶対にお薦めです。私も海外出張などの会食時に料理の値段が張るときは、ロデレール・エステートをうまく織り交ぜながら、レストランの会計を調整したりします。それでもレストランやホテルで頼むと2-3倍のお値段はしますが、普通のシャンパンよりは桁違いに安く上がります。味も非常に良いので、是非試してみてください。


 話をしていくと尽きないので、2つ目のポイントである「NV(ノン・ヴィンテージ)」に移ります。ラベルに「NV」と書かれているシャンパンは、複数の収穫年のワインをブレンドして造られています。これとは対照的にVINTAGE(ヴィンテージ)ものとして、ラベルに収穫年が書かれたシャンパンは、その年のブドウだけを使って造られていて、最低3年間の瓶内熟成後に出荷されます。シャンパンは単一ヴィンテージの方が値段は高く、単一であるからこその個性を楽しめるほか、長期熟成にも向いています。一方でNVが良くないかというとそんなことは決してなく、NVでも美味しいシャンパンは数多くあり、造り手のスタイルが出る面白さと複数年のブレンドが織りなすハーモニー、つまりバランスに優れた味わいが楽しめます。


 3つ目のポイントが「RM(レコルタン・マニピュラン)」です。シャンパンには、グランメゾンという大企業が造る「NM(ネゴシアン・マニピュラン)」ものと、「RM(レコルタン・マニピュラン)」と呼ばれる家族経営的に造られる自家栽培農家のものがあります。NMは自社畑に加えて多くのブドウ農家からたくさんのブドウを買い付けて最新技術で醸造することが多く、私たちが日々飲んでいるものはだいたいがNMものです。一方でRMはブドウの栽培から醸造、瓶詰め、熟成、出荷までを一貫して行うため、RMの出荷量は限られていて、希少な存在であるがゆえに個性的なシャンパンが出来上がります。RMは家族経営で生産量が少ないため、もしラベルでRMというのを見かけたら、希少性が高いシャンパンだと思うようにしておけば基本的に間違いはないです。シャンパン上級者や愛好家になるほど、このRMものを求めがちになります。比較的有名なメゾンとして、「セドリック・ブシャール」(単一品種・単一ヴィンテージのポリシーのもと、超低収量で収穫し、搾汁は足踏みで実施。澱引きを一切せず、ブドウ本来の風味を最大限に生かす)、「マキシム・ブラン」(その年のブドウとリザーブワインのブレンドが絶妙、安いものは5,000円台からあり)、「ポール・デテュンヌ」(自社ブドウのうち20%はヴーヴ・クリコに売却され、最上級キュヴェのラグランダムに使用されるほどの品質)の3つ位を覚えておくといいと思います。

 また完全なRMではないのですが、マイクロNMという形で高品質・少量生産を貫く、1818年に設立されたBILLECART-SALMON(ビルカール・サルモン)も、200年以上7世代にわたり家族経営を貫いている希少なメゾンとしてお薦めです。生産量は約160万本とRM並みの少なさの割に、このシャンパンは日本には結構入ってきていて、8,000円台から1万円前後で美味しく飲めるシャンパンです。収穫直後に畑の近くでプレスをしてフレッシュな酸にこだわり、雑味を感じさせない美しい酸味は個性的で一度飲んだら忘れられません。人によっては「ナイフのような切れ味を持つ酸」と表現する人もいて、味を極めた人のたどり着く至高のシャンパンとまで評価されています。プレステージ・キュヴェは8万円程度になりますが、このビルカール・サルモンは、一般的にはそこまで知名度が高くないので、名前を知っているとちょっと通な感じがする銘柄なので、知っていて損はない名前です。ここもブリュット・ナチュールを9,000円台で出しているので、機会があれば是非試してみてください。


 最後にシャンパン通になるためのおさらいですが、今回はノン・ドサージュ、NV、RMの3つを学びました。ちょっとフレンチのお店に行った時の会話を想定してみましょう。


ソムリエ:「乾杯のお飲み物は何にしましょうか?」

あなた:「ノン・ドサージュのシャンパン(気取った感じであれば「シャンパーニュ」)があれば頂けますか。」

ソムリエ:「普段どのような銘柄を好んで飲まれますか?」

あなた:「ビルカール・サルモンとか個性があって好きですね。」

ソムリエ:「かしこまりました。ノンヴィンテージのRMですが、お薦めの銘柄をお持ちします。」


 ここまで来ると、ソムリエもこの人なかなか出来るなという感じで、変なものを持ち込めないはずで、お店でもそれなりの待遇を受けることができると思います。シャンパン通になるために、今回は3つのことを学びましたが、シャンパンの奥はまだまだ深く、これだけで通になれるわけではないですが、第一歩から第三歩くらいまで歩み出しているので自信をもって、レストランやショップに行ってみてください。また美味しいシャンパンを見つけたら是非教えてください!


#シャンパン #シャンパーニュ #シャンパン通 #ナチュール #ノン・ドサージュ #黒木瞳 #朝シャン #LOUIS ROEDERER #ロデレール・エステート #デイリーな泡物 #NV # VINTAGE #RM #希少性の高いシャンパン # BILLECART-SALMON #フレッシュな酸




163回の閲覧