【バブル崩壊?】 中国恒大集団と注目の米FOMC #41

 


 中国の不動産最大手の中国恒大集団の経営危機が話題になっています。中国国内では、恒大集団のグループ企業が販売した理財商品(金融商品)が満期で償還されないことに対して腹を立てた個人投資家らがデモを行なったりしています。

 中国恒大集団は広東省深圳に本社がある売上高8兆5000億円の中国不動産業トップの企業です。そのような最大手の企業がなぜ経営危機に陥ったのでしょうか。2016年に創業20周年を迎え、不動産だけに留まらず、名門サッカーチームの運営、遊園地の建設、電気自動車の製造など事業の多角化を進め、本業の不動産業も金融機関から多額の借入を行ってマンションなどの物件を販売するという拡大路線を取っていました。事業の多角化の辺りでだんだんヤバそうな匂いがしてきますが、案の定、2021年上半期決算での負債は35兆円超、自己資本の4.8倍という状態になっています。


 中国恒大集団では運転資金が不足して今年に入って取引先への未払いも続いていたといいます。債務不履行のリスクがあるとして格付機関からは「非常に投機的」の格付けを付与され、株価は1年前と比較して80%超下落しています。このような危機に陥った背景には事業の多角化だけではなく、中国政府の不動産市場に対するいくつかの施策(締め付け)も関係していると思われます。

 中国首脳らは不動産は投機対象ではないと再三言い続け、高騰が続く不動産市場に警鐘を鳴らしていました。実際に2020年12月以降、中国政府は大手銀行の貸出総額のうち不動産企業への融資額を40%に制限するということを発表しました。なんだか日本経済のバブル崩壊の引き金になった総量規制を思い浮かべてしまいますね。また中国では、1家庭が持つことができるマンションの数は2つまでと決められているのですが、マンション購入のために偽装離婚をするという社会問題が生じていましたが、中国政府はこれを規制すべく、離婚後に不動産を購入できない期間を1年から3年に延長する施策も発表しました。

 こうした不動産市場への締め付けが拡大路線を続けてきた中国恒大集団を直撃して現在のような状況になっているのですが、この最大手の企業の破綻が不動産バブル崩壊の引き金になるのではないかとマーケットでは懸念され始めています。今までは、規模の大きい企業は中国政府が救済するという見通しが安心感につながっていたところもありますが、ニューヨーク証券取引所に上場した中国配車サービス大手のディディなどに対する最近の中国の動きを見ているとマーケット正常化のためには一企業を簡単に潰しかねない勢いもあります。従業員数20万人以上の企業が破綻すれば中国国内での影響は避けられそうにありませんが、これは不動産市場だけに限った話ではないのです。

 中国の不動産最大手が引き起こす資金繰り問題、つまりデフォルトは世界の金融機関に波及する可能性があるのです。2008年9月の米投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻が世界金融危機の発端になったのは皆さんご存知の通りですが、このようにバブルの経済理論として、バブルが破裂する発端というものが必ずあるのです。世界の大手の運用会社が中国恒大集団の債券を保有しているという懸念や来週のFOMCを控えて様子見姿勢ということで、9月17日の米国の株式市場でダウは166ドル安をつけましたが、今後の中国恒大集団の動向や中国政府の対応には注目をしていく必要があります。


 要注目といえば来週9月22日の米FOMCも非常に注目しています。テーパリングの決定というまでの発表はないと思いますが、事前告知はなされそうな状況で大きな転換点になると思います。

 8月のジャクソンホール会合では雇用回復に進展があり見通しは良好として年内のテーパリング開始が見えてきましたが、米労働省が9月3日に発表した8月の非農業部門雇用者数は前月比23.5万人増で市場予想(72万人増)を大きく下回り、今までの雇用者の伸びに対して急ブレーキの結果となりました。一方でコロナの失業給付金が9月に打ち切られることで、10月8日に発表される9月の雇用統計(雇用者の伸び)は強い結果が出ると予想されていることから、来週のFOMCではやはりテーパリングの事前告知というのが大方の見方になっていると思います。また来週のFOMCでは次回会合(11月のFOMC)で点検をして12月からテーパリング開始というのが既定路線化され、あとはどのようなテーパリングになるのかに次の焦点は移りつつあるように思います。現在のFRBの資産購入ペース(国債800億ドル/月、MBS400億ドル/月)を国債は毎月100億ドルずつ、MBSは毎月50億ドルずつ減らしていくという予想が出始めています。この予想だとゼロになるまで8か月かかるのですが、追加購入をゼロにするというだけで資産残高はキープするため、この残高を減らしていくタイミングや利上げのタイミングにマーケットの次の注目が移っていきそうです。


 テーパリング開始が今年12月になることをマーケットが織り込んで10-11月に金利が上がっていくタイミングと中国恒大集団が倒産するタイミングが運悪く重なった場合、オーバーシュートする金利や株価の性質からは年内に大きくマーケットが変動する可能性があると考えています。日本で悪いインフレで起きること(1万円札をもらって嬉しい状態からもらっても嬉しくない状態になる=日本銀行券が信用されなくなる状態)は想定したくないですが、政治の大きな動きや地政学リスクなど不透明要因はいくつかあり、様々な事態を想定して準備をしておく方が良さそうですね。


#バブル崩壊 #中国恒大集団 #不動産最大手 #経営危機 #事業の多角化 #拡大路線 #債務不履行リスク #株価下落 #総量規制 #偽装離婚 #不動産市場への締め付け #不動産バブル崩壊 #ディディ #デフォルト #金融危機 #バブルの発端 #FOMC #テーパリング #ジャクソンホール #雇用統計 #テーパリング #事前告知 #FRB #資産購入ペース #追加購入ゼロ #資産残高キープ #金利と株価 #オーバーシュート #悪いインフレ #政治の動き #地政学リスク



249回の閲覧

最新記事

すべて表示