【金利と為替】 コロナ禍での今後の動きを考える #36

 


 5月下旬のブログで金利は経済の体温とお伝えしましたが、現在の金利と為替の状況とコロナの動向を踏まえて、今後の金利と為替はどのような推移を見せるのでしょうか。日米の長期金利でいえば、日本は良い意味でも悪い意味でも低位安定していますが、米国の金利はより敏感に景気に反応しています。特に注目される米国の長期金利の代表格である10年債利回りですが、2021年に入ってからも大きく上げ下げが続いています。米国の10年債利回りは昨年末0.9%台でしたが、3月末に1.7%半ばまで上昇し、4月から下がり続けて直近では1.2~1.3%で推移しています。ちなみに昨年末時点での金利専門家による1年後の中央値の予想は1.3%でしたから、その予想を大きく超える動きを見せていることになります。


 直近の金利の動きでいえば、8月6日の10年債利回りが1.30%と前日の1.22%から急上昇しました。これは同日に発表された7月の米雇用統計で非農業雇用者数が前月比94.3万人増となり、また6月の米雇用統計の前月比93.8万人増に続く伸びとなったことから、FRBがテーパリング(量的緩和の縮小)に動きやすくなるとの見方から米国債が売られ、このような金利の急上昇につながりました。前日比+0.08%をあまり大きいと思わない方もいると思いますが、マーケット関係者からすれば0.01-0.03%が通常レンジの変化幅であるのに対して、経済の体温である金利のこの大きな動きは若干異様に見えると思います。

 上述の雇用統計は今のコロナ禍での金利を見る上で非常に重要な手助けになる指標です。FRBのパウエル議長も物価と雇用の両方を見る戦略から大きく転換し、インフレ率の一時的なオーバーシュートを容認する=実質的に雇用のみを見るという戦略転換を昨年のジャクソンホール会合で見せました。現状のように雇用者数が90万人単位で増えていくことを想定すると、コロナ前に比べて現在はざっくり500万人雇用者数が少ないので、500万人÷90万人=5.6ヶ月、つまり約半年で正常時に戻るということです。つまり現状行っている危機対応での金融緩和措置は、半年後には危機前の水準に戻るため来年年明け位にはテーパリングを開始することが妥当であり、その開始を年内に発表して金融緩和の引き締めに入る段階に来ていると言えます。この来年のテーパリング開始というのはマーケットでも徐々にコンセンサスになってきていると思います。ただし、ここで変動要因として挙げられるのが、やはりコロナ禍での変異株の拡大です。これが変動要素となり、教科書通りに金利が引き上がっていくかは若干不透明ですが、逆に言うと変異株がワクチン等で収束するのであれば金利上昇の歯止めはないとも言えます。そのため、大方の見方としては、2022年のテーパリング開始、2023年の金利引き上げを織り込む形で、金利は徐々に上がっていく方向と見ています。


 次に為替ですが、テーパリングの開始は既定路線になっている中で、安定的な雇用回復や景況感の改善を前提とした金利上昇の局面にあるわけですが、既述の通り、コロナもありここを完全な形で見通すことが難しいわけです。一般的に米金利の上昇はドル高を招くのですが、今のドル円は方向感が定まりにくく、4月頃から上値が重く1ドル110円前後で足踏み状態が続いています。今年の年初103円前半だったものが3月末に110円70銭台までドル高が進み、4月から今まで凪の状態で一服している中で、利上げの前倒しなどがあればドル買いの反応は強く出ると思います。一方で、金利の状況は引上げの方向感が出ているものの変動要因もあり一方的な動きになりにくいため、為替もその影響を受けていると言えます。

 為替を見る上で金利は重要な要素になるのですが、長期金利は分解すると実質金利+期待インフレ率として考えることができます。現在の期待インフレ率は2.3-2.4%で、ここ10年間の期