見えてきた【副業の課題】 定着に必要なこと(1) #42

 


 今回は副業支援を行っているからこそ見えてきた副業の課題をご紹介したいと思います。副業のことをかっこよく定義するとすれば、日本の生産年齢人口が減少する中で、副業は人材のサーキュレーションを活性化するものだと断言することができます。また、職場に多様性をもたらしてイノベーションと働き方改革を促進する生産性向上に資するものだとも考えられます。しかしながら、世の中に副業が浸透し始めているとはいえ、事はそこまで単純でもないのです。


 2019年度の経済同友会の調べでは、副業を認めている企業の割合が38.7%、現状認めていないが認めることを検討している企業の割合が26.2%と、約65%の企業で自社社員に副業を認める動きが広がっている一方、外部から兼業・副業として働く人を受け入れる動きはあまり広がっていないのが実態です。そもそも副業を受け入れる側はアルバイトやパートと同じ感覚のため、特に何か社内で決裁を取らずとも、自社に合う副業人材がいればいつでも雇うことが可能です。一方で副業人材の働ける時間は平日の朝や夜間、土日になるため、受け入れ側からすれば、仕事の管理もしにくく、タイムリーな依頼にも対応しづらいとの理由から、副業人材をアルバイトやパート以下の使いづらい人材とみなしているのが現状だと思います。

 そのため、現段階において副業に向く職業としては、デザイナーやエンジニアなど成果物を期限までに提出する仕事、to Bやto C向けに自社のプロダクトを販売する、稼働時間にとらわれない成功報酬型の営業的な仕事などが、副業先として受け入れやすくなっています。実際に私の会社で契約が決まった割合も成功報酬型の方が圧倒的に多い状況です。人事や総務、経理や財務といった本当は人材不足が懸念される部署で、勤務時間が合わない、入り口段階で研修が必要、タイムリーな対応が求められるという観点で、優秀な副業人材が活用されていないというのは大きな問題点です。特にスタートアップではこのような管理部門の人材は喉から手が出るほど欲しいものの、正社員として定着してほしいとの思いから、なかなか副業人材の受け入れが進んでいません。


 先日、塩野義製薬で、希望する社員が週休3日を選択できる制度を2022年4月から始めるとの発表がなされました。研究部門や工場勤務を含め、全社員の7割にあたる約4,000人が対象となり、大学院でのリスキリング(学び直し)やスタートアップでの副業も解禁するとのことです。この決定の背景には、製薬業界ではAIなどの先端技術を駆使した創薬や、デジタル技術を持つスタートアップと連携したアプリや機器の開発が潮流となっている中、海外大手に比べ日本勢は出遅れているため、社員のITスキル向上や、新規ビジネス創出につながる経験が不可欠と判断したことが背景にあるようです。リスキリングを通じて知見の吸収や資格取得、外部の人脈づくりに使える時間をつくり、組織全体のイノベーション力を高めるということに全く違和感はないものの、スタートアップでの副業という観点では、先ほど述べた通りの問題に直面する可能性があります。

 

 今回副業の課題として、まずは受け入れ側の体制の問題を取り上げました。優秀な副業人材が容易に働けるように、受け入れ側での意識改革や体制整備が必要であり、場合によっては国が副業人材を積極的に受け入れることを後押しする優遇措置などが求められると思います。最初は使いにくいと思った副業人材でも、アルバイトやパートの方が持ち合わせていない経験やノウハウを有していたり、企業をよりよくするために自発的に動くことができるのが副業人材だと考えています。習うより慣れよの精神で、まずは副業人材を積極的に受け入れてみるという社会情勢になることに期待したいと思います。

 次回は副業に関するもう1つの課題を挙げつつ、私たちが働く上で将来目指すべき方向性を考えてみたいと思います。


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