【Z世代】からの考察(1) 新たな世代層による労働社会への影響 #11

 


 よく広告業界ではセグメンテーションとして、T層(13~19歳の子供)、M1層(20~34歳の男性)、F1層(20~34歳の女性)などと消費者を分類して、消費行動の違いからマーケティング方法を変えて各層への効果的な訴求を試みたりします。一方で各層の分類や世代論そのものが時代錯誤や無意味なものとして捉えられることもありますが、市場や環境の変化に応じて各世代の生活習慣は変わるものであり、それぞれのカテゴリーの層を大まかに把握するという意味において、世代論の一定の意味や有用な効果はあると考えます。

 本日から2回にわたって、そういった世代層、特に将来の労働人口の中心を担うZ世代以降にスポットを当てて、私たちが働く社会にどのような変化をもたらすのかを考えてみたいと思います。


 Z世代の年代の定義は、米国や日本、文献によっても様々ですが、大まかには1995-97年から2010-15年に生まれた世代がZ世代と言われています。デジタルが当たり前の時代に生まれてきたことから「デジタルネイティブ」とも呼ばれます。コロナ感染が拡大した2020年に5歳から25歳を迎え、世界全体では人口の約4分の1を占める世代です。コロナ禍においては、若くして未曾有の社会変化を経験することになったものの、社会に飛び出して間もない世代でもあり、過去のあるべき働く姿や満員電車・オフィス勤務をあまり知らないなど、固定概念のない世代とも言えます。


 今後このZ世代が社会や企業に対してどのような影響を与えていくことになるでしょうか。コロナ禍を経た社会変化として、会議はほとんどオンラインで実施され、在宅勤務やワーケーションがニューノーマルとして認知されるようになってきました。Z世代はそれを自然に受け入れ、むしろ満員電車やオフィス勤務が当たり前ではない状況と認識するようになります。

 このような世代が魅力を感じる企業とは、ワークライフバランスを大切にし、与えられた仕事を期日までに完了すれば働く場所や時間は一切問わず、兼業や副業といった柔軟な働き方を容認し、従業員との価値観の整合を重視する企業です。

 実際LinkedIn社が調査した優秀な人材の獲得・維持に関する調査によると、このような世代では、企業のミッションや価値観が自身のそれに合ったものであれば給与が減額になっても働くと回答した割合が 85%超に上ることが明らかになっています。また3年以上職場にとどまる理由として、高額の賃金・昇給が上から5番目の理由になっていることも興味深いと言えます。

 これらを総合して考えると、高額の報酬などで従業員を引き留めることは今後のZ世代以降にとっては意味がなくなり、仕事と私生活がより密接に結びつく中、兼業や副業といった柔軟な働き方を容認し、従業員の価値観とその変化をアンテナ高く察知し、社会や従業員の価値観の変化に絶えず応え続ける企業が圧倒的に受け入れられていくと考えられます。


 このような動きに呼応するように、東京都中野区の新渡戸文化学園では、2年間で約20人の教員を新規採用し、IT企業や製薬企業などの企業経験者や教員以外の職種経験のある教員が全体の32%、また副業も認めていることから学外組織に肩書を持つ人の割合は36%に上るといいます(2021/2/14号東洋経済より)。つまり、約4割に兼業・副業を認めるなど、すでに時代を先駆けた動きが出てきており、Z世代が労働人口の中心として活躍することと並行して、このような流れは今後も加速化していくと見られます。


 現在では誰もが簡便に情報を発信できるメディアが多数乱立し、情報供給の過剰状態にあります。一方で、社会全体の多様化や個人の認識にも多様な変化が生まれた結果、マイノリティが声を上げやすい世の中になりました。

 特に、Z世代はみんなが行っているから真似して行うという大衆心理はなく、個性やストーリーに共感にして自らの行動様式や価値観に従って行動するという傾向にあります。兼業や副業のように今まで労働社会でタブー視されていたことを容易に受け入れ、自分の個性と価値観に合った仕事を選択し、自由に複数の職業を取捨選択するようになります。またその働く姿を発信することで周囲にも影響を与え、そういったものを機敏に感じ取る同世代を巻き込んで大きな変化を作り上げていきます。言い換えれば、労働社会が個人の価値観の多様性を受容するように変化し、企業はその価値観に応じて絶えず動くようになるのです。社会や企業が画一的な商品で大量生産・大量消費を牽引してきた高度成長期とは逆の動きですね。(第2回へ続く)


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